Unreal2
「……であんまししつこいから8×4渡したげたんよ。
ヒャ―ッて顔してた」
京都弁のまったりとした感じと、関西ゆえの流れるようなトーク。
生で聞く彼女の喋りは、その独特のテンポもあり、笑いが堪えきれない。
声は意外と落ち着きがあってよく通る。
おそらくはこれから、彼女のチャットを見るたびに思い出すだろう。
そして横をみると、きめの細かい髪。
こんな細い髪は見たことがない。
櫛で梳くと全部抜け落ちそうだ。
うなじから高級ホテルの石鹸のような匂いがする。
あまりにいい匂いで、思わず息を大きく吸いたくなるが、発情していると思われては格好悪いのでやめた。
今のスクランブル交差点で、彼女を見た男は8割。
琉希はさすがに慣れているらしく、意識はしていないようだ。
慌しく人並みを避けながら、時おり輝く高層ビルを見上げている。
京都にはそんな高いビルはないそうだ。
動く歩道や通天閣などなど、大阪名物(?)を見せて回る。
彼女は視線を左右に散らしてはしゃいでいた。
喜怒哀楽のはっきりした表情は、よく動かすから輝くんだろうか?しかし彼女が一番注目するのは、いい匂いのする食い倒れ通り。
そういや、いつも何か夜食喰いながら狩りしてるな…。
それにしても、彼女もいい匂いだ。
石鹸でなく柑橘系かもしれない、と思えてきた。
「そろそろ、なんか喰おか?」
行きつけの店が近づいたので提案すると、彼女は(待ってました!)という笑顔を作った。
今にもよだれを垂らしそうな頬のひきつり・・・可愛い。
その丼屋は商店街の外れにある。
味は一級品だが、見た目が一軒家なので客が少ない穴場だ。
琉希がブーツなので、座敷ではなく椅子に腰掛ける。
鉢巻をつけた大将が彼女を睨んでいた。
今どきの物が嫌いな人だから。
だが、琉希が頼んだ天丼が届き、彼女がそれを食べ始めると、心なしかその視線も緩んでいった。
おしとやかに一口一口、ではなく、かといってがっつくでもなく。
箸が止まらないとでも言うように、次々と頬張る彼女。
確かにここの丼は美味い。
だが、これほど美味しそうに食べる子ははじめて見た。
グルメ番組のように笑っているわけではないのに、幸せそうだ。
思わず見とれていると、恥ずかしげにはにかんで
「あんたも喰え!」
とばかりに箸で俺の丼を指した。
そこから映画を見て、ゲーセンに寄るとすぐに辺りは真っ暗。
喉も渇いたので近くの居酒屋に入った。
はじめはチューハイをちびちびやっていた琉希だが、そのうち俺の真似をして生中を飲み干す。
ほんの一杯で顔が真っ赤。
目がとろんとしはじめている。
この間も彼女は話し続けていたが、どんな話だったかは覚えていない。
ただ、とんでもなく色っぽいと思ったことは確かだ。
マスター・・とか呟いてちょっと背中を預けてきたりしてたから。
さっきまでは対等な立場、という感じだったのにこのギャップ。
酔った彼女が可愛くて、ちょっと回りに対して優越感もあった。
実際俺も、この日はずっと心臓が高鳴っている状態。
酔いもかなり早い。
自然と、俺は彼女の細い腰を抱き寄せていた。
琉希は一瞬、戸惑ったようにこっちを見たが、すぐに力を抜いてもたれかかってくる。
オフ会での出会いというのは、なんとも不思議な感覚だ。
チャットでは心友といえるほど打ち解けているのに、会ってみると知らない顔。
幼馴染が全く別の人間になったようなものだ。
おかしいぐらいに興奮する。
彼女もそうなんだろうか、腕を組んでみたがり、そのまま指を絡ませてくる。
酔うと下系に大胆になるタイプだろうか。
店を出た後、俺と彼女はしばらく黙って立ち尽くしていた。
まさか、彼女も同じことを考えてるんだろうか・・?じわりと汗の滲む手に力が込められた。
「……せっかく、会ってんし」
確か、彼女は男性恐怖症だったはず。
でも握られた強さを感じると、そんな伺いを立てることもできなかった。
気がつけば、俺はホテルで嫁に朝帰りの電話をしていた。
琉希が酔いつぶれたという理由にしておく。
すでにシャワーを浴びた彼女は、俺に背を向けて口にスプレーを噴きかけていた。
やっぱりあのぐらいの子は、体臭を気にするものなんだろうか。
個人的には、ちょっとくらいの口臭はむしろ歓迎だけども。
産まれたままの姿で向き合い、中坊みたいにじっと見つめ合う。
手を回して彼女の頭を引き寄せる。
髪の感触はやはり希薄。
上唇を合わせる軽いキスから、舌を入れていく。
舌の根をくすぐると、向こうも応えてきた。
彼女は男は苦手だが、女相手ならよく遊ぶそうだ。
ギルメンにも相手がいるのは、その本人から聞いている。
だから彼女のディープキスはうまい。
歯茎や喉のかなり奥まで舐め取られ、声が漏れてしまう。
何より、俺はこの瞬間を、もうずっと前から夢見ていた。
「この子とキスなんてできたらな…」
初恋のように、チャットを追いながらぼんやり考えたりもした。
それが実現している。
いい匂いが漂い、たちまち下腹部が熱くなる。
口づけを繰り返しながら、俺と彼女は互いの体を探りあった。
服を着た時よりも若干小さく思えたが、高校生とは違う胸の膨らみ。
細いのにふにふにと掴めるくびれ。
「むっちり」
という表現をしたくなる、瑞々しい肌の太腿。
それらを揉むように撫でると、彼女はぴくっと敏感に反応した。
「触り方、やらしいよ…」
照れ笑いしながら身を捩る彼女を、笑い返しながら押し倒す。
折り曲げても長い脚を開き、手入れしてある茂みに口をつける。
鼻の下に柔毛の感触。
続いて湿った餃子のような舌触り。
ほんの少し肉臭い。
でも俺はこのぐらいが大好きだ。
舌で、まだ花の芽ほどもない淫核をくすぐる。
締まった脚がベッドを小さく軋ませる。
演技かもしれないが、新鮮な反応だった。
潤み慣れているんだろう。
淫核と肉びらを丹念に舐めていると、わずかに湿ってくる。
だが割れ目に指をくぐらせた時、彼女は身を強張らせて息を詰めた。
露骨に痛そうな反応。
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